第4章 名前
「特に深い意味はないんだけどね…。
エースはくん付けで呼んだら呼び捨てで良いって言ってくれたから呼び捨てにしたの。
サッチさんは歳上だからさん付けで…。
マルコは…なんか、呼び捨てが良いなって私が勝手に思っただけ。
呼び捨てが嫌ならさん付けに変えるよ?」
「いや、そのまま呼び捨てで居ろよぃ」
「うん、分かった。
そういうマルコは私の名前、まだ1度も呼んでくれたことないけどね?」
「今までずっと熾天使だったから、今更呼び方変えるとかなんか恥ずかしいだろ…」
「まぁ、良いけどね。
ちょっとだけ寂しかったりするけど…」
「!」
グイッと残りのお酒を一気に飲み干す。
「まぁ、無理に呼ばなくても良いよ。
呼びやすい名前で。
それが熾天使なら、熾天使でも。
でも…名前で呼んでも良いって思えるような存在になったら、名前で呼んで欲しいな?
今すぐじゃなくても、どのぐらいかあとでも」
「…分かったよぃ。
お前が俺より強くなったら名前で呼んでやるよぃ」
「何それ、それじゃあ一生呼んで貰えないじゃない」
「冗談ねぃ」
一呼吸挟む。
「お前が…俺のことを好きになってくれたら考えてやるかもねぃ」
「へ?」
「ま、オトナになったら呼んでやるよぃ、名前を」
「絶対だからね!」
「あぁ」