第5章 spring memory⑤
「え!?な、何ですか・・・?」
ビックリして肩をすくめるけれど、岩泉さんはへぇ・・・と興味津々な目で私を見た。
「あんた、クソ川にそんな風に喋るって、いいな」
「だ、ダメですか。やっぱり・・・」
「いや、寧ろそっちの方がいい。こいつ昔から女の前じゃ鼻の下伸びてフワフワしてたから、あんたみたいにはっきりとものの言える人が珍しいって思っただけだ」
え・・・、私、珍しいのかな?
確かに会社で彼と話す女性はみんな女性らしくて話し方にも華がある。でも、私は彼に対しては遠慮せずに結構言いたいことを言っている気がする。だって、媚びるなんて今更・・・何の得にもなんないし。
それを、岩泉さんは気に入ってくれたんだ・・・
「ありがとうございます!」
「お礼言うところじゃないから!二人はもうちょっと俺に優しくした方がいいと思うよ!?」
及川さんが割って入る。
「うるさいクソ川」
そんな彼を、岩泉さんは素手で制裁する。
この二人の関係を見てると、いい幼馴染なんだな・・・と感心する。
及川さんも、何か、素って感じだな。
「つか大丈夫か?一緒に住んでて変なことされてねぇか?」
「どーいう意味だよ、岩ちゃん。俺変質者とかじゃないから!」
「お前は変質者より危ねぇからな」
もうダメだ、二人の掛け合いが面白すぎる!
腹を抱えて笑ってしまう。
「だ、大丈夫ですよ、夜ご飯のリクエストは細かいですけど、楽しくやれてます」
そう言うと、岩泉さんはふっと微笑んだ。なんだかその笑顔で、岩泉さんの人柄が見えた気がした。
「そうか、良かったな。何かあったら俺に言えよ、バレーと女にしか興味ねぇ頭ぶん殴ってやるから」
「それは散々すぎるっ!」
「ありがとうございます、すぐに、言いますねっ」
ーーー・・・その後ひとしきり3人で話をしたあと、青城が帰るという事で、岩泉さんをバスまで見送った。
青城で常勤講師で働いている岩泉さんは、初対面だったけど凄く男らしくて素敵な人だったな。
「いい幼馴染がいて良かったね」
「岩ちゃんと俺の超絶信頼関係は最高だからね。あ、妬かないでね、従姉妹でもこれは越えられない壁かも!」
「妬いてないし、そんなあんただから岩泉さんみたいな人が合うんだろうね」
と、少し羨ましくなったのは事実・・・