第1章 spring memory①
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顔合わせの会は滞りなく進んだ。
新卒、中途採用の人達を含め数十人にのぼる会は司会の方の進行でグループに分かれて自己紹介をしたりグループディスカッションを行った。
皆、意欲的に話してくれて、時間はあっという間に過ぎた。
次は4月1日の入社式で会う予定だったけれど、私のグループは会話が弾み、このあと親睦を深めるという面目で呑みにいくことになった。
「わ、外まだ寒いですねぇ」
「あ、北村さんは東京出身でしたっけ?仙台はまだ寒いですよ」
最寄り駅の近くの飲み屋街を、隣の席で話すことの多かった同い歳の仲村さんと言う女の子と並んで歩く。呑みにいくと言い出した男の子は数人で先を行き、お店選びをしてくれている。
「引越しとか、大変だと思うし風邪ひかないようにして下さいね!」
そうしてニコッと笑顔をくれる仲村さん。優しいなぁ。
「ありがとう」
そう微笑み返すと、お店が決まったらしく男の子が手招きしてくれる。
適度な繁盛具合の居酒屋に入り、とりあえずのビールを選択する。
美味しそうなビールジョッキが全員の手元に渡る。
「ではでは、まだ入社式は来ていませんが、我が社の益々の発展を祈念して、カンパーイ!!」
カチンとグラスの合わさる音と共に、楽しい呑み会はスタートしたーーー・・・