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おかえり〜I'm home〜(R18)

第35章 a LOVELY TONE





「え・・・?」


私は言葉の意味が今度こそ理解出来なくて、
完全に思考が止まっていくのを感じた。

「どういう、こと・・・?」

「言葉通りの意味だよ、りお・・・」


何だろう、言葉通りの意味って・・・
最後って・・・え?

頭が真っ白に、そして混乱していく。

「最後・・・?」

震える唇で尋ねる私とは正反対に、及川さんは穏やかな表情を浮かべる・・・。

どうして・・・どうしてそんなに笑ってるの?


「どうして・・・?」

突然の別れの言葉に、
さっきまでの幸せな気持ちが一気に遠ざかっていく。

どうして・・・そればかりが胸を渦巻いて。


「りお・・・」

及川さんの手が伸びてくる・・・




むにっ


「へ?」

突然頬を摘まれる。
その拍子に溢れてきた涙がぽろっと頬に伝う。

「なーに勝手に最悪な事態想像してんの」

「え・・・?」

私の心境とは裏腹に及川さんは、いつもの口調だ。

「いい?俺は・・・恋人としてって言ったの。この意味、わかってる?」

「・・・え、・・・え・・・え?」


本当、今日の及川さんの言葉に翻弄される。
何がどういう意味なのか・・・私は混乱していた。


「恋人じゃなくなるって・・・、事じゃないの?」

別れを切り出されてるんじゃ、ないの・・・?

「そうだけど、・・・・・・はぁ〜〜・・・」

及川さんは私の両頬を包み、そして長ーいため息をついた。


「やっぱりりおにはちゃんと言わないと、俺の気持ち伝わんないか・・・」

がっくりと肩を落とした及川さん。

「なんなの〜・・・もう」

まっっっったく状況が分かっていない私は、遂に涙を抑えることができなくて・・・ぽろぽろと涙を溢れさせた。


「ちょっと、まだ何も言い終わってないのに泣くとか何なの・・・もう」

及川さんは苦笑いを浮かべて、私の涙を手で掬ってくれた。
その手は優しくて温かくて、これから別れを告げる恋人にするものだとは・・・到底思えなかった。


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