第34章 Lovers memory③
「はぁ・・・っ、はぁ・・・っ」
口の中に残る精液は独特の苦味があったけど、目の前で荒く息をする及川さんが達したことに、この上ない喜びを感じた。
口端から零れそうになるそれを私は指で掬って・・・それから彼を見つめる。
「ほんとやめっ・・・」
ぱくん。こくん・・・
指についたそれも、口の中に残るそれも・・・
全部を喉に通した。
及川さんは目を見開いて、一瞬唖然とした。
そしてすぐに枕元に置いてあったティッシュと、ミネラルウォーターの入ったペットボトルの蓋をあけた。
「ほんっと何してんの!汚いから!早くこれ飲んで!」
「き、汚くないもん・・・」
人生で初めて男の人のものを口に含んで、出てきた液体を飲むなんて・・・恋人である及川さんには衝撃だったみたい。
珍しく取り乱して、手に持ったティッシュで私の口元をごしごしごしっと拭った。
「い、痛いよ、及川さん・・・っ」
「うるさいよっほんと、いつからそんなえっちな子になったんだよ」
及川さんは顔を真っ赤にして私を見つめた。
多分私も負けないくらい赤い顔をしてると思うんだけど、そんな及川さんを見つめ返した。
「えっちな私は嫌い・・・?」
及川さんの頬に手が伸びる。
及川さんは抵抗せず、くっと引き寄せられるように私と唇を重ねた。
ちゅ、ちゅとリップ音を立てて合わさる軽いキス。
その合間に及川さんは、はぁ、と息を漏らして・・・
「嫌なわけないでしょ」
そう言ってくれた・・・ーーー