第28章 1 years later①
「!」
突然鳴り響いたインターフォンの音にビクリと体が震え、危うくスマホを落としそうになった。
「ち、ちょっと待って!」
私は色々と焦る気持ちを抑えて、インターフォンの受話器をとる。
「はい〜っ」
「宅配便でーす」
・・・なんだ、宅配便か。
ほっと胸をなでおろす。
もう、なんてタイミングがいいの。
「ごめん、及川さん、ちょっと待ってて、何か荷物が届いたみたい」
そうスマホの向こう側の及川さんに伝え、そのままスマホをリビングのテーブルに置いて、玄関へ向かった。
えーとえーと、印鑑は・・・と。
玄関に置いてある、小さな棚から及川の名前の印鑑を取り出して、玄関のドアノブに手をかける。
少し隙間を開けると、春先の柔らかな日差しが玄関に差し込んで、少し目をすぼめた。
光に慣れるとゆっくりとドアを押し開いた・・・
でも・・・
「あ、あれ?」
玄関のドアを開けると、宅急便屋さんの影も形もない。
目の前にも、門扉の方にも人ひとり居なくて、
代わりに、門扉にとあるものが置いてあるのに気づいた・・・
「ん・・・・・・?」
門扉の横の、平らになっている所に置かれているのもの、それは・・・