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おかえり〜I'm home〜(R18)

第28章 1 years later①





「ふふっ」

《え、なに、怖いんだけど》

「なんでよ」

顔が見えなくてもわかる。及川さんは顔をひきつらせてる。

《いきなり笑い出すからじゃん》

「いいじゃない。清い乙女の妄想よ」

《ふっ、清い乙女ねぇ・・・》

及川さんが、吹き出したのが分かった。
もう、また何か意地悪なこと言うつもりだ。

「でもね?」

それを言わせないように、私は口を開いた。

《ん?》

「及川さんが帰ってきたらやりたいこと、沢山あって選べないけど・・・」


今、ここに及川さんはいない。
あるのは、私と及川さんの目に見えない繋がりだけ。

どこへ行ってもいい、何をしてもいい、
何もしなくてもいい・・・

「ただ、及川さんがいてくれるなら、私はそれだけでいいかなっ」

だから、あなたがここにいてくれるだけで、
私は何よりも嬉しいし幸せを感じられるから。

なぁんて、本当に私、
この1年でこんなに素直になっちゃったな・・・

側にいないと、自分の気持ちに素直にならなくちゃ、伝えきれないことがある。
温もりに触れられない分、言葉でしか伝える術がないから・・・


《ふうん・・・やけに素直じゃん》

「たまには、ね・・・。今日はほんと、気分がいいの」


でも本当はね、・・・一番したいことがあるんだ。

それは、帰ってきたあなたの胸に飛び込んで、思い切り抱きしめること。
温もりに触れて、もう離れない〜ってくらいぎゅって腕を回して・・・それで・・・

もう一度、あなたに好きだと伝えたい・・・。

寂しくて、切なくて、頑張れない日もあった。
でも頑張る理由が、あなたに会うためだったから、
私、今日まであなただけを想ってやってこれたよ。

「ね、及川さん・・・。帰ってきたら、私及川さんに言いたいことがあるの」

だからそれを一言、好きの二文字にのせて伝えたい・・・。
私の今までのあなたへの気持ちを・・・

《俺に・・・?》

「うん・・・」


叶わなくたっていい・・・
でもこの想いに蓋をすることはもうできなくて。


もし二人が出会う場所が違っても、
もし一緒に住んでいなくても・・・

億千のめぐり逢いの中で、

きっと私、あなたに恋してたから・・・


こんなに誰かを愛しく想えた事が、
どれだけ素晴らしいか証明したい・・・

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