第26章 Winter memory⑦

それから、家の前で彼の奥さんに会って、手紙を渡されて･･･それを読んだ及川さんは家を飛び出した。お前には関係ないって、あの時言われた時は正直しんどかったけど、及川さんが一番辛い思いをしたんだよね。

それから岩泉さんに彼のことを聞いて･･･及川さんのために私は何が出来るだろうって考えて･･･それで、

たった一度、彼と繋がった･･･

あの夜は今でも忘れない。
彼の苦しげな顔は忘れない。
だけどそれがあって今の彼がいるから･･･。


でも、それから苦しいことばかりじゃなくて、
インターハイに行く青城のみんなの練習相手に行ったり、

及川さんの誕生日、遅れすぎたけどお祝いしたりした。あの時あげたネックレスを今もずっと付けてくれているのは嬉しかったな。

夏祭りも二人で行って相変わらず喧嘩して･･･私は迷子のトオルくんのお世話をしてる間、及川さんは私の事を探し回ってくれたんだよね。あの後仲直りして見た花火は本当に綺麗だったな。

秋にみかん狩りに行って足を捻った時も、凄く心配してくれた。

行き先を告げずに連れてってくれた東京ではお母さんとご飯を食べられたし、よ〇もとも見られたし、

大好きな夢の国では、二人で美女と野獣の服を着て、本当に夢みたいな時間だった。

それからおじいちゃんの所にも行ったよね･･･