第26章 Winter memory⑦
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「それではこれにて合同研修セミナーを終了します。みなさん5日間お疲れ様でした」
(よし!終わった・・・とにかく急がなくちゃっ)
及川さんが突然イタリアへの移籍を発表した日から、まともに顔を合わすことができていなかった。祝勝会が終わっても、及川さんは会社の人たちに突然の別れを惜しまれていて、先に帰るように言われたから、私は先に帰った。
その日は結局チームの打ち上げに行って帰ったこなかったし、次の日も、及川さんは挨拶回りで朝早くから出かけていた。
そして私も以前から任されていた5日間の研修セミナーの為に東京にいたから、本当にあれ以来お互い話せてない。
こうしている間にも及川さんが日本を離れる時間は刻一刻と迫っていて、明日、あの家を発つ及川さんに早く会いたくてたまらなかった。セミナー中も、及川さんのことが気がかりでたまらなくて、胸が苦しかった。
セミナーが終わってすぐに新幹線に乗り、静かな車両内で逸る思いを鎮めながら・・・夕暮れに染まる外の景色を眺めた。