第25章 Winter memory⑥
リーグ戦で上位の成績になった四チームはセミファイナルと言ってまたその四チームで試合をする。そしてそこから、チームをまた二チームに絞り、最後にファイナルラウンドを行い真の優勝チームを決めるという、過酷極まりないリーグ(実際のVリーグとは異なりますby作者)。
そのファイナルラウンドに及川さんのチームは駒を進め、東京、代々木体育館へと来た。私も仕事を休み取って叔母さんと一緒にそこまで駆けつけた。
久しぶりの東京。懐かしいと思うのにそれよりも私はなんとも言えない気持ちを覚えていた。
だってだってだって、
これから日本一の実業団チームを決める試合が始まるんだよね。こーんなに広い体育館でプレーするなんて、やっぱりプロって凄い!
プロ自体すごい事なのに、そこで及川さんは正セッターとしてトスを上げるなんて・・・
緊張とワクワクでどうにかなりそうだった。
「及川さん・・・昨日は緊張してないって言ってたけど・・・大丈夫でしょうか?」
昨日、先に東京入りしていた及川さんから電話がかかってきた時、いつも通りに冗談言ってる彼だったけど、やっぱり心配だった。
朝、ちゃんとご飯食べられたかな?緊張でトイレ篭ったりしてないかな・・・
「大丈夫よ、あの子、緊張してもその状況を楽しんじゃうタイプだから」
確かに。
叔母さんは不安そうな私とは裏腹にいつもの和やかな笑みを浮かべてる。勿論叔母さんからは不安なんて微塵も感じられない。
流石は親子。
きっと及川さんもこんな表情でいるに違いない。
「全然、大丈夫っ」
「そうですよね」
そう思えば不安はどんどん消えていった。
よしっ!頑張っていっぱい声出して応援しよう!
私は心の中でそう大きく意気込んだ。