第1章 spring memory①
《りおSide》
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PM1:00過ぎ、飛行機は無事に仙台空港に到着した。
ロビーはエアコンが効いていて暖かくまだ良かったけれど、一歩外に出ると仙台の寒さが全身にしみる。
コートのチャックをきちんと上まで閉めて、私はスマホを取り出す。そして、とある人に電話をかける。
「もしもし、叔母さん?」
《もしもーし!りおちゃん、無事に着いたかしら?》
電話の向こうで聞き慣れた声が聞こえる。
「はい、今空港で、これから向かいますね」
《ごめんなさいねぇ、お父さんのお見舞いで迎えに行けなくて。りおちゃんが良かったら、先に家に入ってもらって荷解きしてくれて全然構わないんだけど・・・》
「いえいえっ、私も今日は新入社員の顔合わせで遅くなると思うので、近くにホテルをとってます。明日の午前中に、改めてお邪魔しますね」
《そう?ごめんなさいね。じゃあ、気をつけて来てね》
「はい、明日から、よろしくお願いします」
最後にそう残して、通話を切る。そしてまだまだ肌寒い仙台の空気を味わうように深く息を吸いこんだ。
「よしっ!」
私の勤務先は、ここ仙台。
気合を入れるようにぐーっと伸びをした。
雲一つない晴天。
新たなスタートを切るには絶好の日だと思った。
彼に出会うまでは・・・ーーー