第14章 summer memory⑨
元気な女性・・・
一家団欒、家族の結び付き・・・
辛抱強い愛情・・・
それが、母さんから見たりおの印象なんだ・・・。
やっぱり女だから、何か感じるところがあるのかな・・・
いつもは元気で明るくて・・・
でも、まだ答えの出せない俺の事を想ってくれる辛抱強さがあって、優しさがあって・・・
そんなりおはきっと、家庭を持てば家族の中心になれるようなそんな女性だと思う・・・
雨の中、その花を咲かせ続けられる女性・・・
「確かに・・・ピッタリだと思うよ」
頷けた。そんな意味があるなら・・・りおが紫陽花なら、少しは好きになれるかも・・・。
「ほんと?それなら嬉しいなぁ」
きっとりおは自分のことをそんな風な人間だって気づいてないよね。お前の魅力的な部分を知ってるのは、俺だけでいいなんて思うの、ほんと・・・馬鹿みたいだけど本気で思ってる自分がいて、困るよ。
ふっと、微笑むとりおが、あっと声を出した。
「?」
「やっと・・・笑ったね」
ほっとしたような優しい笑顔で俺を見るりお。
「私も言ってなかったけど、及川さんのその浴衣、似合ってるよ」
追撃するように放つワード。
もうなんなの、今日のお前。
俺じゃなかったら確実にお持ち帰りレベルだよ!?
「ふっふーん、当たり前だしねー?俺は何着たって似合っちゃうからさ」
「はいはい」
そう言っていつものように笑ってくれる。
りおがいなくなるのを想像して、あんなに怖くなったのに・・・
今はりおが隣にいてくれることが安心して仕方ない・・・
「はぁい、それじゃ、どっかの忘れん坊さんがトイレに置いてきたスマホ取りに行って、改めて祭り楽しむよ〜」
「あの、及川さん・・・手・・・」
「お前ちっちゃいし寸胴だからすぐはぐれないように握っててやるよ」
「ちょっと、寸胴は余計でしょ〜!」
繋いだ温もりを、離れないように、離さないように・・・
もう一度繋ぎ直して
花火で照らされた道を歩き出したーーー・・・