第3章 spring memory③
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住民票を移したり、会社に提出する書類を見直したり書き直したり、辺りを散策に出かけたり、叔母さんに約束通り?入社祝で洋服やら鞄やら靴やらを買って頂いたりと、三月はあっという間に過ぎていき、4月1日の入社式も終えた。
入社式が終われば、2週間の研修期間が始まり、毎日各部署の見学、お偉い様方の話、そしてレポート課題に追われていた。
新人のうちは朝一番に出社するため、5時30分に起きる。看護師である叔母さんは、夜勤もあるし毎日いない時もあるので、基本的に朝食は各自あるものを食べる、と言う約束。
6時30分には会社に向かっている私だから、及川さん(叔母さんがいない所では苗字で呼んでる。ムカつくから)が何時に起きているのかなんて全然知らない。帰りも、私は10時近くまで会社に篭ってレポートを仕上げているため、家に帰る頃には彼は自室にこもっている。
別に顔を合わせずに済むなら、それに越したことはないんだけどね。あのムカつくくらいに整った顔を見なくていいから。
でも、最近驚いたことがあって、それは彼が所属しているチーム、つまりうちの会社の実業団チームのことだった。
なんと、数あるプロチームの中でも、チームの成績は極めて優秀らしく、社内に貼られたチームのポスターには、及川さんのバレーをしている姿が堂々と映っていたのだ。
チームプロフィールを見てみると、彼のポジションはセッター。司令塔ってやつなんだ、すご。なんて月並みな感想を漏らしたこの頃。
兎に角、写真で見る限りの及川さんは、キリッとしていて真剣そのもので、決してカラオケで女の子にちょっかいかけたり、俺に惚れないでね発言する人には到底見えなかった。
あー、折角忘れていたのにまた思い出した・・・
そして、思い出した日に限って、遭うんだなぁ。