第13章 summer memory⑧
《summer memory⑧》
あと少し頑張ればお盆休みというビッグイベントが控えている今日この頃・・・
私はそれよりも大きなイベントが過ぎ去ってしまっていることに気づくのだった・・・
ーーー・・・
「ねぇねっ、北村さんはお盆休みって東京帰るの?」
最近のマイブームは、水曜日のお昼休みに、近くに出来たカフェで職場のお姉さまたちと涼みながら濃厚なジェラートを食べることだ。
オススメのアイスが週ごとに変わるカフェで、今週はソルティレモン。あっさりしたレモン味だけど、意外と酸味が強くて本当のレモンを食べているよう。うんまいっ
そこで、私と歳の近い姉御肌の先輩が冒頭の言葉を口にした。
「はい、帰るつもりです!」
「久しぶりに帰るもんね、家族に会えるし、存分に甘えちゃいなさいよっ」
「そうよ〜、私なんてこの近くに住んでるからお盆なんて特別代わり映えないし、プチ旅行みたいなので羨ましいわ」
確かに・・・ここら辺で実家暮らししている人達に比べると違うところで違う景色を見れたりするし、旅行気分かも。
でも、旅費も、お盆休み価格だから馬鹿にならないんだけどねぇ。
今回のボーナスをちょいと使って帰ろうと考えていると、別のお姉様がスマホを口を開いた。
「あ、ねぇねぇ、うちのバレー部のホームページ、新しくなってるわよ!」
女子は会話がコロコロ変わる。
元よりうちのバレー部のファンであるお姉様の言葉に、他のお姉様たちが食いつく。
「え、どれどれ〜?」
「プロフィール写真が変わってるの。あ〜ん、やっぱり国見くんは選手じゃないからもうユニホーム写真無いのね〜、でもマネージャーとしてかっちりしたスーツ着てるのも似合うからいいわぁ」
と身悶えるお姉様。どうやら国見くん推しらしい。
へぇ、チームのホームページなんてあるんだ。私も見てみよっと。
そう思ってスマホを取り出して、Go〇gleでチーム名を入力すると、一番はじめにそのURLが出てきた。
(へぇ〜、凄い。試合してる時の写真とかも沢山ある・・・)
メニューの中から、選手一覧のバーをタップして、一番最初に名前を連ねたのが・・・
「やっぱり及川くんはかっこよさずば抜けてるね!」
私の同居人、及川徹さん、その人だった・・・