第9章 summer memory④
《summer memory④》
及川side
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結婚ってさ、夫婦ってさ、俺すんごい憧れあるんだよねー。
指輪を嵌めてる者同士、お互いを思い合うのが自然で当たり前で・・・どんなことがあってもお互いを支えあっていくって、凄く幸せな関係だと思う。そんな人に出会えること自体が、奇跡に近い確率なんだとも思うんだよね。
だから、俺はその相手に、彼女を選んだ。
彼女なら、俺と、俺の憧れる夫婦っていうものになれると確信したから。
美人で気立てが良くて優しくて・・・バレー選手である俺の忙しい生活にも、馬鹿多い食事の量にも文句も言わず全部分かってくれて・・・
最高の女性を自分の奥さんにできたと思った。彼女が俺の誇りだし、守りたい人だし・・・、男だから、彼女の為に、いつだって上を目指す男でいたかった。
そんな時に舞い込んできたのが、イタリア遠征の話。
リーグ戦が二月の上旬に閉幕して、中旬から行くというハードスケジュールだったけれど、チームの強化のため、自分たちがもっともっと上のレベルへ行くためのいいチャンスだと思った。
"2週間だね。お土産は何がいい?パスタとかオリーブオイル、アメディのチョコ箱買いしてくんね"
"ふふふ。そんなお土産なんていいのよ。徹が無事に帰ってきてくれればそれで・・・。気をつけてね、行ってらっしゃい"
そう言って彼女は笑顔で送り出してくれた。
変わらない笑顔・・・。俺の憧れだった彼女。
そんな彼女がいつまでも俺の隣に居続けてくれるくらいの男に・・・
そんな男になれる気がして、俺はイタリア遠征に臨んだ・・・ーーー