第1章 プロローグ
「みなさんこんばんは、梶裕貴です〜。お便りご紹介します」
「……梶さんは、最近ハマっているものはありますか?」
「そうですね、最近僕はメロンパンにハマってます。」
なんてタイムリーな話題なんだろうか。
ひまわりのメロンパンの良さをこれでもかと話した。
ラジオ収録を終え、帰路につく。
ふと手帳を開くと、明日の日付にしるしがついていた。
「あ、明日か…」
俺の家に、女の子が住むらしい。
そのご挨拶にと、うちに来るのだ。
空いてる部屋はあるし、全然住むのは構わないんだけれども。
「いや、男の家にまだ未成年の女の子を住まわせるって…」
ため息をひとつついた。
母さんの友人の子らしい。その子やご家族がいいならいいんだけど、俺が親なら心配するなあ。
でも、どんな子だろうか。会ったことあるらしいけど、子どもの頃だ。あまり覚えていない。
「夢芽ちゃん、か。」
2月の寒空に白くなった息が消えていった。