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【ヒロアカ】63億分の1(ファット)

第2章 厨二病な世界








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私は気付けば
懐かしい光景の中にいた



ボッロい建物

門は錆だらけだし
壁には蔓が生い茂っている



これは私が中学までを過ごした
児童養護施設



小さい頃
暗くなるまで遊んだ砂山の近くで

風もないのに
ブランコが揺れていて

その隣では
幼い姿の私が
うずくまって泣いていた



……妙な感覚だった



これが
走馬燈と言うやつなんだろうか?



走馬燈で
過去の自分を見るなんて話し
聞いたことがない

普通は
過去を思い出すもんなんじゃないの?



……いや、そもそも私は死んだのか?




混乱のあまり
自我崩壊を起こしそう……

ゲシュタルトなんちゃら
ってやつだっけ?

例えるなら
私の頭がゲシュタルト崩壊した
って言えばいいの?

それとも
世界がゲシュタルト崩壊状態なのか?



私が過去の小さい自分を眺めながら
そんなアホっぽい事を考えていると

施設からまだ髪が黒い
施設長が出て来た



最後に会ったのは
いつだったっけ?



分からないけど
別れの時は
白髪ばかりだったな……




施設長は私に近寄り
まだ小さなその身体に
視線の高さを合わせるよう

屈み込んだ



「ちゃん?
寒いからお部屋戻ろう?」




「やだぁ……!!!

パパとママに会いたい!!!

のんちゃんのママ達は
迎えに来てくれたのに

何でのママ達は
迎えに来てくれないの?

の事……
忘れちゃった?」



泣きじゃくる私の頭を
撫でる施設長の瞳は
凄く優しげで

……そして
その反面、
悲しみに満ちていた



「ママ達がちゃんを
忘れるわけないじゃない

今はお仕事が忙しいから
ちゃんのところに
来れないだけだよ……

ママ達もちゃんに
会いたいって思ってるから
良い子にして

一緒にママ達を待とう?」




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