第9章 どっちがいいんだ
有は秋也の胸の中に倒れ込み、ハァハァと息をした。
秋也はそんな有の頭に手を当てながら、何か言いたげな顔で黙りこくっていた。
「ハァ…どうかした?秋也くん…」
「いや…」
有は少し考えた後、秋也の胸を弄りながら
「『オレのとバイブとどっちがいいのか』とか、考えてる?」
と聞いた。
「いや、まあ…。まあ、気にならないと言えば、嘘になる、な」
難しい顔をしながら秋也は答えた。
有には、その顔がかつてないほど可愛らしく感じられた。意地悪してやりたいと、そう思った。
「まあ…ね。どっちがいいっていうのは、難しいかな。オモチャと人間じゃ、何もかも違うからね。高級レストランでの食事は美味しいし見た目もいいしで最高だけど、夜中に食べるコンビニアイスもやめられない。そういうことって、あるよね」
「有でも夜中にコンビニアイス食べたりするのか…」
「たまーにね。やめられないよね」
有はニヤニヤしながら秋也を見つめた。
秋也は眉をハの字にへし曲げると、有の上体を起こし腰を掴んで、下から勢いよく突き上げた。
「アッ!あぅ!あっ、あん!あん!ちょっ、あぁっ!」
「意地悪言うから、お返しだ…っ」
「んっ!やっ、あっ!秋也くっ…アッんっ!」
体がぶつかる度に、秋也のものが奥に当たる。その衝撃に押されて、有はお腹の底から声を漏らし続けた。
背中を反らし、秋也にされるがまま。胸のふくらみがぷるぷると揺れ動く。秋也はそれを下からギュウと掴んだ。
「うっ!あっ!あう、あっ!はぁ、あんっ!」
「どっちだ!?」
秋也は、彼にしては珍しく、キツい声を張り上げた。
「オレのと、どっちがいいんだ!」
「ああ!アッ!ひああ!アっ!あァッ!!」
有は答えられなかった。答えようにも行為が激しすぎて、言葉を発するヒマがない。
腹の底から絞り出されるような嬌声を、自分の意志とは関係なく垂れ流すことしかできなかった。