第150章 転がるケーキ
力が抜けて膝から崩れる
「………………好きです………」
震える唇から絞り出した声
「………好きですイルミさん………だから私も………一緒に……………」
…………一緒に連れて行って
涙と共に溢れた言葉に彼はゆっくりと振り返った
「………好きなんです………!!」
涙でぐちゃぐちゃの顔で見上げた先彼は溜息を付いた
「………あーあ。言っちゃったね」
私の傍にしゃがみ込み顎を掬い上げた彼と目と目が合った瞬間
奪われた唇
唇と唇が重なり目を見開いた瞳から涙が溢れる
そんな私にクスリと笑みを溢した彼はもう一度キスをした
呆然と彼を見上げた私に柔らかく微笑んだ彼は光の中を歩み出す
…………追わなければ
「…………待って……」
伸ばした手は光に弾かれて
愛しい彼の背中に届かない
「………………待ってよ……!!!」
狭い部屋に私の涙声が響く中
「さようなら」
優しい声色と共に彼は私の世界から消えた
「…………イルミさん………イルミさん………
………うっ………
………うあああぁっ………!!!」
その場から動く事も出来ずに泣き声を上げる私の傍にはぐちゃぐちゃのクリスマスケーキが転がっていた
ここは私の部屋です.完