第115章 バブルバス
なんて妄想の最中にもバラエティー番組の笑い声に混ざってシャワーの音が微かに耳に入った
そして入浴中の彼の姿を想像して更に身悶える
衣服を取り去った彼の身体は無駄の無い筋肉に覆われていてその美しい肌に水を弾かせているのだろう………鼻血物だ………
想像が邪な方向へと進行してしまった私だが
「………沙夜子ー」
風呂場からくぐもった声で呼ばれてピンク色に染まりかけた脳内が正気に戻る
「………はーい?」
しかし彼が風呂場から私を呼んだのは此所に来た日以来な気がする
いつの間にかシャンプーなんかの詰め替えもキッチリこなしてしまう様に成った彼が呼び掛けて来るなんて一体何事だろうかと洗面所の扉の前で声を上げると
「ちょっと来てー。早く」
なんて悠長な声が聞こえた
「はーい!……………?」
彼が風呂場に呼び付けている………いよいよ私は何事かとそっと扉を開くと洗面台の隅に着替えがキッチリ置かれているのが目に入った
独断変わった様子も無く疑問符を浮かべたままに声を掛けると風呂場の扉がガチャリと開いた
湯気が流れ出て来て湿気に鏡が曇る
「これさ、入れたんだけど」
ぬっと出て来た腕から察するに彼は湯船から話している様でその手には空の容器が握られていた
「………え、はい」
「お湯とろとろに成ったんだけどさ………泡風呂にする前に沙夜子が入った方が良いんじゃないかと思って。貰い物だったよね確か」
「………あー……」
まさか彼がそんな気遣いをしてくれるとは思いもしなかった