第50章 居酒屋来店
昔から接待等の席には酒が欠かせないと言う様に
アルコールは人を素直にさせるし普段出来ない行動を出来てしまったりする
私は勢いを其のままに彼へ抱き付いていた
少し驚いた様にしっかりと抱き止めてくれた彼に不機嫌さは微塵も無く優しく髪を解かされて思わず笑い声を上げる
「イルミさんイルミさん!会いたかったです!」
「はいはい。相当飲んだね。バイトじゃなかったの?」
「暇やったから飲んで良いよって店長が!」
「ふーん」
無愛想な声色ながら優しい手つきは変わらない
私は嬉しくて彼にぎゅっと抱き付いていると直ぐ背後から別れを告げる声が聞こえて私は彼に緩く抱かれたまま振り返り笑顔で手を振った
ふわりと離れた彼を見上げるといつかの様に「帰ろう」と言われる
私は端から見れば子供の様に元気に頷き並んで帰路に付いた
沖縄旅行の話をした際に興味無さ気に「ふーん」と言った彼の声は何処かぼんやりとしていた