第24章 雛祭りと長男
3月3日
私とイルミさんは実家に来ていた
本日雛祭りは女の子の健やかな成長を祈願する日である
たまたま土曜日だったのと
雛人形を出し忘れるとお嫁に行き遅れるなんて嫌な言い伝えから未だにこの時期実家には祖母が買ってくれた三段の雛人形が飾られている
実家には近所に住む叔母が従兄妹達を連れて遊びに来ており
母、叔母のさっちゃん、四歳の従妹せいらちゃん、六歳のえつじ君と私とイルミさんという何とも意味不明な組み合わせが集まっている
叔母のさっちゃんは父の弟の奥さんになるので母からすれば義理の妹になるのだが
実の姉妹に間違われる程仲が良く更に顔や雰囲気まで母と似ている
そんなさっちゃんは私達姉弟をまるで本当の姉の様に可愛がってくれていたので従兄妹達の誕生は本当に嬉しかった
えつじ君が生まれたのが六年前なので私は18歳で新社会人だった
初めてお祝いを包んだりしたのも覚えているし
初めて抱っこしたのはまだ生まれて3日目で小さな命の誕生に涙した事も覚えている
だから従兄妹というよりまるで甥っ子姪っ子の様な気持ちでいる私は二人を頻繁に遊びに連れて行ったりしていた
「「沙夜子ねーねー!!」」
と私を見付けた途端に駆け寄ってくる二人を抱き締める