第2章 〜初めての感情〜
喫茶ポアロからの帰り道。
さっきから凄く心臓ドキドキしてる。なんだろう不整脈かな、何かの病気だったりして。
咲「やっぱ真恋音具合悪いんじゃないの?ずっと話さないけど大丈夫?」
『うん、大丈夫。ちょっと動悸がするだけだよ。心臓ドキドキしててさ。何が原因か分からなくて。』
咲「それって────。」
一目惚れしたんじゃない?と言いかけてやめた。真恋音に限ってそれ無い。こんな恋愛に無頓着過ぎるこの子に限って、と。
『それより、ハムサンド美味しかったね!また時間ある時に2人で来ようね!』
咲「そうだね。でも私、来週から研修なんだよね、1週間位。しかも沖矢さんと同じ班でさ。1週間ずっと一緒だよ。」
『えぇ〜!?ポアロに一人で行く勇気は無いなぁ。』
咲「ちょっと!沖矢さんとの事も突っ込みなさいよ!」
『あ。ごめん。あんまり興味が無いもので。』
素直に謝る。さっきポアロでも沖矢さんとの事きいたけど、然程興味は無いのだ、特に恋愛に関しては。
咲「なんで一人で行けないのよ!別にハムサンド食べに行くだけなんだから一人でも行けるでしょ?」
あ、それはそうか。なんで一人で行く勇気出ないんだろう。ファミレスとかには、よくレポート書きにノートパソコンを連れて3時間位睨めっこしてるのに。
『うーーーーーん。なんでだろう?なんか行けない。今日見たいに、変な動悸したら嫌だからかな?』
咲「真恋音って、ほんとに高校生の時からそう言うことに関しては阿呆だよね。良く言って天然。」
『な!阿呆?!ていうか、そう言う事ってどう言う事?』
咲「じゃぁ、ここでお別れだよ。私こっち。」
咲璃愛はそう言って、私の家とは反対の方向を指さした。
『ちょっと聞いてるっ?』
咲「聞いてるって、もー、ほら、動悸がするなら早く家帰って休みなよ!じゃあね!」
『は〜い。』
心配されてしまっては強く物を言えないため、仕方なく咲璃愛とは反対の家路に着く。