第6章 〜本当の正体〜※R18
私と透さんはソファに隣同士に座った。透さんは私が泣き止むまでずっと待ってくれていた。泣き止んだ私が透さんに問いかける。
『透さんは、沖矢さんと知り合いって沖矢さんに聞いたんですけど、ほんとですか?』
透「ええ、正しくは沖矢昴ではなく、沖矢昴の中の人間と知り合いですけどね。」
『中の人間?』
透「はい、信じられないかもしれませんが。そうですね、やっぱり順を追って話しましょう。まず、俺は29歳のアルバイター、安室透ではないです。29歳の公安警察官、降谷零です。これが俺の本名です。」
『公安警察?ふる、や、れい?』
私は聞き慣れない言葉と名前に疑問形で透さんじゃない降谷さんに問うた。
零「はい、安室透は俺の偽りの名前で、公安警察官は存在しない組織であれと命じられています。だから、俺が公安警察だと知るのは仲間と家族と、真恋音さんだけになります。それと、俺は犯罪組織の一員です。」
『警察なのに、犯罪者なんですか?』
私はそれはダメなやつでは無いかと思った。
零「ええ、でも、犯罪は犯していません。まぁ犯しても見つからないし許されると言う方が正しいでしょうか。それも仕事ですので。」
『犯罪が仕事?』
零「スパイとして、犯罪組織の内情を探っているのです。だから、公安だとバレぬよう、俺は安室透を名乗っています。バレてしまえば即抹殺ですからね。」
『そんなに危ない組織なんですか?』
零「疑わしきは罰するなので。それと、先程の沖矢昴の件についてですが、沖矢昴の中身の人間も犯罪組織の一員です。まぁそいつも、FBI捜査官でスパイだったんですけど。」
そんなこと、私と降谷さんは住む次元が違うと思った。一緒に居ていい存在なのかも分からない。
零「この間の女も犯罪組織の一員です。だから、真恋音さんを彼女だと打ち明けてしまえば、あなたを危険な目に合わせると思い、ボランティアだと言うことにしました。何もやましい事はありません。」
『それは、その。本当ですか?私が彼女でいいんですか?』
零「ええ、貴女は俺の彼女です。だから、この秘密を知ってしまったからには、俺の傍から離れないで下さい。秘密をバラされてしまっては、元も子もないので。」