第5章 ~裏切り〜
買い物から帰ってきて、私は布団でごろごろしているといつの間にか昼寝をしていた。起きて時間を見てみると夕方の5時。
『お腹空いたな。』
私はそう思いキッチンへ向かうと誰かの気配を感じた。
?「起きました?」
『な、なんで、透さんが...?』
透「合鍵を使って。気持ち良さそうに寝ていたので、起こしませんでした。夜ご飯作ったんですけど、食べますか?」
『透さんが作ったご飯なんて要らないです。自分で作りますから。』
私は当たり前の様に突き放すように答えた。喧嘩しているんだ、意地を張って、食べないと言った。
透「そう、ですか。僕のことそんなに嫌いになりました?」
『ええ。大っ嫌いです。顔も合わせたくなかったくらい。』
透さんは悲しそうな顔をした。ホントはそんな事思ってない。大っ嫌いなんて。でも今は嫌い。納得いく理由が無いと、私はそのまま別れるつもりだ。
『それより話をしましょう。単刀直入に聞くと、あの女の人は誰ですか?彼女?』
透「彼女では、ありません。僕が好きなのはこの世でたった一人、貴女だけです。」
『どうですかね。何故あの時引き止めなかったんですか?彼女だって言ってくれれば良かったのに。私はボランティアさん、ですもんね。』
透「怒っていますか?」
当たり前の事を聞く透さんに、またムカッと来て、今度は無視した。プイっとそっぽを向き私はテレビの電源を付けて、テレビを見た。
透「無視しないで下さい。ちゃんと話をしたいと、この家に呼んだのは貴女ですよ。」
貴女って他人のように名前を呼んでくれない、透さんに悲しくなって、私はテレビを見ながら静かに涙を流していた。透さんにはバレていない。透さんは、私の後ろにいるから。
『名前、もっ、もう呼んでくれないの?』
嗚咽を堪えて、透さんに問いかける。
透「真恋音さん?泣いているんですか?」
私は何も答えられなかった。もうこれ以上ここにいるのは無理だと思って、寝室へ逃げようとした。
透「ごめんなさい。真恋音さん。本当にごめん。」
後ろからふわりと優しく抱きしめられた。もう私は耐えられなくなって、私は泣きじゃくる。
『ふっ、ぐすっ...、うぇ〜ん、酷いよ透さんっ...。』
私はもっと強く抱きしめられた。
透「全てをお話しますから。」