第18章 猫になりました。【前編】※R18
「起きろ、おい、真恋音。」
気持ちよく眠っていた私は、彼の...、零の声で目を覚ました。
「どうしたの...。まだ眠たいよ。昨日も寝るの遅かったし。」
「そんな悠長な事言ってられるか。俺たち、猫になってるぞ。」
若干強い口調で、そう言われたけど、昨日の零とのセックスで疲れ果てていた私は、寝惚けながら「うん...。」と返事をした。
「は? 猫?」
零の言葉にどんどん意識が覚醒し、零から聞いた言葉を紡いで、そう質問した。
「正確には猫耳と、しっぽが付いてる。ほら。」
確かに、零の姿を寝ぼけ眼で確認してみると、零の頭にはツンとたった耳と、ふさふさの長いしっぽが付いていた。
「猫耳カチューシャでも付けたの? 朝から何なの〜。構って欲しいの〜?」
構って欲しかったんだろうと、零の頭を撫で撫でして、顔を洗いに行こうとベッドから起き上がり、ベッドを離れようとした瞬間、腕をパシッと掴まれた。
「相手してあげるから、ちょっと待っててよ。2人とも休みなんだからさ。」
「冗談で俺がこんな事する筈無いだろ。玄関の鏡で自分の姿を確認して来い。」
やれやれ、と零に言われた通りに、玄関にある全身鏡で自分の姿を確認した。
「なにこれ〜!?」
「だから、最初からそう言ってたよ。俺は。」
いつの間にか玄関に来ていた零にそう言われ、自分の頭に付いた猫耳と、おしり付近から出ているしっぽを、手で触って確認する。
「ナチュラルに付いてるね。違和感無い。」
「俺もだ。この姿のままゴミ捨てに行こうとして、危なかった。全身鏡があって助かったよ。」
そんな事を言われ、あぁそう言えば今日はゴミ出しの日だったな、なんて事を思い出す。
「どうするの、これ。」
「どうもこうも、自然に治るのを待つしかないな。」
諦めたように言う零に、「そっか。」と私も諦めたように返した。
「そもそも2人が同時に休む時って、セックス以外にする事ないからね。」
「逆に仕事の時とかじゃなくて良かったよ。」
「ふぅ。」と軽めの溜息を吐き、零はニヤリと笑った。
「この姿でしか、楽しめない事、してみるか?」
その姿を見て、私もニヤリと笑い返した。