第12章 〜不穏な気配〜
それから色々な検査をして、結果はまた後日に分かると言われて、いろんな質問をされる事になった。
医「お医者さんにね、聞かなきゃいけない義務があってね。一応聞いておくけど、この子を産むのよね?」
『はい。そのつもりです。』
医「じゃぁ旦那さんは居るの?未婚?」
『居ます。結婚して間もないんですけど。仕事が忙しくて中々連絡も取れないですけど。』
医「あら、そうなのね。あと喫煙や、飲酒とか、妊娠中に心配なことは無い?」
『特には。少し悪阻が酷くて、妊娠がわかる前には貧血で倒れました。』
医「あら、それは大変ね。これから長い戦いになるけど、一緒に頑張りましょうね。旦那さんにも宜しく伝えておいて。検査結果は次の検診の時でいいから。あと、役所に母子手帳とか、その他もろもろ。やる事沢山あるけど、何か分からないことがあったら、直ぐに相談してね。些細なことでも、妊娠さんには大変な事かもしれないからね。」
『はい!ありがとうございました!』
医「お大事にね!」
いい先生と巡り会えたなと心の底から思った。零さんには妊娠のこと黙っておいて、帰ってきた時にびっくりさせようと、私は企んだ。
それから昨日、赤井さんと約束した自分から電話をかけると言う約束を果たす為に携帯と睨み合っていた。
『うーん、今電話しても大丈夫かな、出られるのかな。』
忙しいかな。そんなことを思っている内にどんどん勇気が無くなっていって。それでも勇気を振り絞って、掛けてみる事にした。
零さんは直ぐに電話に出てくれた。
零「もしもし。すまない今連絡しようとしてた所だった。」
『はい...。ちゃんと寝てますか?ご飯食べてます?』
零「ははっ...。母親みたいな事を言うんだな。いま三徹目だ。飯はちゃんと食べてる。連絡出来なくてごめんな。その後体調はどうだ?赤井に行かせたら、元気そうだったと言っていたが、奴は信用ならんからな。」
『はい、大丈夫です。どうですか?仕事終わりそう?』
零「あと2週間程は掛かるかな。部下に任せてばかりじゃいかないし、今まで溜まってた分の始末書もあるしな。腕が二本じゃ足りないよ。」
『ふふっ...。冗談言えるくらい元気があるなら大丈夫ですね!お仕事頑張って下さい!』
零「頑張る。今から仮眠室行くから。おやすみ。」
『はい!おやすみなさい。』