Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第5章 激情
ナツは受付で荷物を回収すると、重い足取りで院長室へと向かった。
ベポに一応最後の挨拶をしておこうと思ったが、生憎彼も今日から出張らしい。
今日会えないということは、もう二度と会えないかもしれない。
何かと色々話を聞いてもらった戦友との別れは、少しだけ寂しかった。
ほとぼりが冷めたらこっそり挨拶だけしにいこうか。
流石に何も言わずに行くのも気が引ける。
ナツは病院を辞めてからのスーパーニートタイムの予定を勝手に立てた。
ベポと送別会。めちゃくちゃ文句を言われそうだが楽しそうだ。
「…はぁ」
院長室専用のエレベータはナツをこの医院の最上階へと運ぶ。
ここに来るまで何回ため息を吐いたのか分からない。
ナツは色々と考えを巡らせても、結局彼が何を考えているのかよく理解できなかった。
ナツを抱いたのも、なぜ執拗に呼びつけるのかも。
なかなか従わないナツが珍しいのだろうか。
たしかにいつでも彼の周りを取り囲んでいる彼女達と自分は、全く別の生き物だろう。
「いやいや、だからといって私で遊ぶなよ」
ナツは本日十数回目のため息を吐いた。
エレベータから降りると、視線の先には院長室の大きな扉。
本当に院長は不在なのだろうか。
もしいたら即効で渡して退散するか。
あ、でもエレベーターが難点だな。
待ってる間に追いつかれたらどうしよう。
まぁ何事もなく普通に終わるかもしれないけど。
もしかして私が警戒しすぎているだけか?
考え事をしながら進めた足は、あっという間にナツを院長室の前まで連れて来た。
大きく深呼吸すると、扉に手をかける。
ゆっくりと開かれる扉。
その先に見たものは。
半裸の、美女だった。