Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第5章 激情
「部長は真面目というか、とても熱心な方なんですよ!見えないけど」
おいおい軽くディスられてるぞペンギン。
「あの年齢で理学療法士と作業療法士のダブルライセンスなんて滅多にいないですし!」
あー。ごめん部下くん。
漢字の羅列っぽいその用語、凄かろうが分かんない。
「何より乗り気じゃない患者を上手く乗せてリハビリさせるのが誰よりも上手なんです!!」
あー。それはなんか納得だ。
凄いなこの人。ペンギンのファンか。
「将来は病院で匙を投げられるような人達が、自分のペースでリハビリできるような施設を作りたいって。部長言ってました!!」
こんな所にも新興宗教が……。
トラファルガー教よりはマシか。
その後も彼は、延々と自分の上司への賛辞を述べ続けた。
彼の熱意には少し引いたが、ペンギンが普段あんな感じな割に仕事熱心なことと
部下を大事にしてるらしいことは、嫌ってくらい伝わってきた。
「ベポ。変わりなし?」
「ないよ。随分心配性なんだね」
ジュースを片手にご満悦な男の子を乗せた車椅子を引きながら受付にやってきたペンギンは、ベポとなにやら話をしている。
「俺こいつ今から歩かせたら後フリーだから。いつでも呼んで」
「ハイハイ」
半ば呆れたように返事をするベポとペンギンは、何の話をしているんだ?
よく分からない話の流れに頭に疑問符を浮かべるナツの腕を、車椅子の上から男の子が引っ張った。
「なぁ!ペンギン先生の彼女!今度一緒に散歩行こうぜ!」
「こら。ちゃんと1人で歩けるようになるまではリハ課のスタッフなしで出歩くな」
良いじゃねぇかと不貞腐れたように文句を言う男の子を窘めるペンギンが
普通の好青年に見えて何だか気持ち悪い。
それじゃと去っていく3人を、ベポと2人で手を振って見送った。
「ナツモテモテだね」
ボソリとそう呟くベポに顔を向けると、何やら言いたげな顔をしている。
なんだ。
なんなんだ一体。
ナツはジト目で見下ろしてくる白熊に、適当に手を振って話を流した。
私はモテた覚えは一切ない。