第4章 思い

ガキの頃から見ている夢があった。

夢の中に出てくるオレは海賊で、医者だった。

その海賊達の頭、船長という立場で過ごす毎日は
がさつながらも配慮し合うその関係性、緊急時の結束力の強さ
日常的すぎるその内容がかえって
夢だと言うのにリアルに感じた。

仲間の中で１人、夢に現れる頻度が群を抜いて高い女がいる。

顔も名前も分からないその女。

海賊のオレを恐れることなく、何時も傍にいた。



その女を想う、夢の中のオレの感情。

それは夢から覚めた後の、現実世界では感じたことのない

激しくて強い感情だった。

夢の中の俺は、やはりと言うべきか自分勝手で
周りの都合などお構い無しで
それなのにそんな俺の隣にいるアイツは
いつだって笑って
しょうもない俺を受け止めてくれている。

そんな夢の中のオレが、少し羨ましかった。







最近、何かと接点が多い
うちの病院で働いている受付の女。

アプローチをかけてこない事が珍しかったとは言え
わざわざ話しかけようと思うほど、彼女に関心を持ったのはなぜだろう。

自ら進んで脚を開く女など山ほどいると言うのに
自身を拒絶するあの女を


狂おしい程欲しいと思ったのはなぜだろう。









今思えば、そいつは……