Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第3章 訪問者
「てか何故ここにいる」
ナツはペンギンの忍び説を一度脳内から切り離し、取り合えず一番聞くべきことを聞いた。
外はまだ明るい。
噂の院長に次ぐ二大巨塔の一角がペンギンだったことには驚いたが
統括だか部長だかは知らないが、目の前で携帯をいじる彼のこの行いは紛れもなくサボりだろう。
「昨日強盗捕まえたんだろ?……ん?やられたんだっけ?特別室になんて入ってるって言うから、一人ぼっちで寂しいかなーと。」
なるほど、つまり冷やかしですね。
朝からわざわざ玄関ホールまで出向いてくる院長といい、気まぐれに病室を訪れるペンギンといい
この病院は一体どうなってやがる。
「なんだ全然元気じゃん」
組んだ脚の上で頬杖を付くペンギンが、呆れたような視線を送ってくる。
きっとサボりの口実なんだろうけど
もしかすると少しは心配してくれたんだろうか。
「手、見して」
なんだこいつと思いつつも顔の脇でお手上げのポーズを取って見せた私に、ペンギンは吹き出した。
違ぇよと笑いながら包帯の巻かれた方の手を引かれて、彼が怪我を見せろと言っていた事を漸く理解する。
傷の向きを聞かれたり、指先を揉まれて感覚に異常がないかを確認されたり
診察してくれてるらしいペンギンは、案外本当に私を心配して様子を見に来てくれたのかもしれない。
「問題ねぇと思うけど。俺切り傷系専門じゃねぇから分かんねーや」
おい。
彼は偽の診察を終えた後も、ナツの手に指を絡ませて遊んでいる。
そういえばペンギンの職業って
理学療法士って何する人なの?
「ペンギンって何する人なの?」
「俺?……気になんの?」
にやりと口の端を吊り上げたペンギンが
いつの間に絡め取られていた手の甲に唇を押し当て、瞳を覗きこんで来る。
手にかかる吐息に、びくりと体が震えた。
「……いえ別に。どうぞお仕事にお戻り下さい」
掴まれている手を引き戻そうと力を込めるが、どうやら彼はそうさせる気はないようだ。
マジでどうなってやがる。この病院。
理性を潔く捨て去った男ばっかじゃねぇか。
「あの、傷が痛いので離して下さい」
「気にしてよ。俺のこと」
は?
「ナツに俺のこと、もっと知って欲しい」
えーっと。
とりあえず、節操が無さそうだっていうことは分かりました。