Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
ナツは結局、エミリアに特別室へと連れ戻された。
幸い部屋の中には院長の姿はなくて、それにはほっと胸を撫で下ろす。
受付と病室を往復すること2回。
いい加減色々と諦めたくもなる。
「ローがあなたを連れ戻すようにって。彼って意外と優しいでしょう?」
ナツがベットに座ると、エミリアは素敵な笑顔を浮かべて話し始めた。
言葉の節々には、そんな事どうでも良いと思う私にとってはだから何?状態なのだが、
“その彼と親しげな私”的な雰囲気が散りばめられていた。
優しい……?
解せん。
怪我人を仕事から外すのはまだ分かる。
だとしても無許可で襲うとはどういう了見だ。
優しいどころか真逆だ。医者が患者の怪我を悪化させてどうする。
優しいのも納得出来ないけど、優しいで許されるのならば
世の中の警察官が路頭に迷う。
「あなたはローのこと好きなの?」
「……いや、それはないです」
予想外の質問に一瞬返事が詰まる。
今までのどの流れを汲み取れば私が院長にフォーリンラブな結果に行き着くんだろう。
そんなフラグを立てた覚えは一切ないのですが。
「ふーん?」
何やら意味深な表情を浮かべてこちらに視線を寄越すエミリア。
疑ってるのか、もしかして。
NOといっているからNO以外の答えはない。
YES・NOがはっきりしない日本人にも関わらず、はっきりとそう言ってるんだから間違いないだろう。
「ローに抱かれたいのに?」
エミリアのその言葉に、ナツは脱力しすぎてよろけた。
私が院長に抱かれたいっていう設定は
本人の自覚を盛大に無視したあげく、確認すらもして貰えない感じで決定事項なのか。
っていうか今更だけど院長の名前、ローって言うんだ。
ローといいエミリアといい、顔の良い人間は器量の良さに比例して人の話を聞かないらしい。
もしかしたら彼女は、先程のこの部屋でのやり取りをどこかで見ていたのかもしれない。
いやそれにしたって、こいつらは人の話を聞かなさすぎる。
「そんなんじゃないです、本当に」
コミュニケーション不可な人種の立て続けの登場に、ナツはついに痛みだした気のする頭を押さえた。
聞いているのか聞いていないのか、エミリアは意味深な笑みを浮かべているだけだった。