Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第11章 番外編
ナツが目を覚ますと、そこは二人が宿泊していたあの旅館。
回らない頭で茫然と天井を眺めていると、静かにページを捲る音が近くでローが本を読んでいる事を知らせてくれる。
ゆっくりと覚醒していく頭。
なんで私は寝てるんだ?
ケーキバイキングに行って、買い物して…
「……んん!?」
眠る前、いや気を失う前の記憶がぼんやり思い出されて、そこで一気に目が覚めた。
ナツは言葉にならない声を飲み込み、がばりと体を起こすと
痛む身体に顔をしかめよろける。
起きて早々騒々しいその様子に、ローからは呆れた声が上がった。
「……え、えっと…」
起きてみたものの、非常に気まずいこの雰囲気。
ナツの目線は明らかに泳いだ。
恐る恐る、伺うようにローの顔を覗きこめば
一瞬交わった視線はさっと逸らされる。
これは…まだ怒っているのだろうか。
「……悪かった」
ナツが悶々と考え込んでいると聞こえてきた、その声の主が到底吐くとは思えない言葉。
聞き間違いだろうか…
それとも他の誰かが…?
意味が分からな過ぎて怪訝な表情でその顔を凝視するナツは、ローが眉を寄せ不機嫌を露にした途端ビビってすぐさま状況を整理した。
「…い、いえ…私も話してなかったことですし…」
幾度となくローが怒っている原因を探っても、もうやはりこれしか思い当たらない。
きっと他にもあるんだろうが、それ以外の原因には検討もつかない。
案の定ローは呆れたように重いため息を吐くが、ナツにはこれ以上どうにもしようがなかった。
「……ここまで来ると。まさか本当に忘れてンのか…?」
何やらぶつぶつと独り言を唱えだすローを、ナツは静かに見守っていた。