Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第11章 番外編
「たまには怒れよ…」
どの口がそれを言う。
ここにもし第三者がいれば、そんな突っ込みが殺到するだろう。
しかしそれも、彼にとっては本音。
急発進しやすく、それでいてブレーキの見当たらない内に秘めた感情。
変わるつもりもなければ、きっと変わろうと思っても無理なこと。
しかし自分でもそれに自覚がある分、そこを嫌と言うほど知っていて結局は咎めないナツに
申し訳ないと思う気持ちも僅かに存在する。
この女には敵わない。
どうみても傷つけられているのはナツなのに、一体どこまでお人よしなのか。
ふと時計を目を向ければ、だいぶ時間が経っていた。
恐らく旅館には戻れるようになってるだろう。
ローは次第に冷静になっていく頭で、この惨状をどうしたものかと頭を悩ませた。
事後処理によって綺麗なったナツの身体。
しかしお互い気持ちは整理がつかぬまま。
今考えても、仕方ねェか…
ローはナツに服を着せ、そのまま抱き上げ部屋を出た。
燻る気持ちは収まらず、未だどす黒い渦を巻いている。
取りあえずは旅館に戻って、ナツが目を覚ましてから。
ナツの口から他の男の話など聞きたくない。
しかし今更手放す気など微塵もない。
ならば、全てを受け入れるしかないのだろう。
腕の中で安らかに寝息を立てるナツのこの身体に、自分以外の男が触れたと思うだけで殺意が沸く。
ならばおまえはどうなんだ。
散々これまで女をとっかえひっかえ抱いてきた男の心情とは思えぬそれ。
しかし彼女もまた、色々とタイミングが悪すぎた。
最初から素直に話しておけばまだ、結果は違っただろうに。
ローは旅館に戻りナツを布団に寝かせると、本日何度目になるかも分からないため息を深く吐きだした。