Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
「ん……?」
カーテンの隙間から溢れる日差しに、夜が明けて日が昇っていることを知る。
目の前で寝息を立てるペンギンの顔が思ってた以上に幼く見えて、昨晩の男の顔とのギャップに思わず赤面した。
ずっと抱き締めてくれていたらしい腕も
枕代わりにしていた厚い胸板から聞こえる鼓動も
その全てが幸せだなって思える。
この人を好きになって
この人が私を好きになってくれて
本当に良かった。
朝の一時に幸せを噛み締めていると、ふと今が何時か気になった。
ペンギンに連れられるように寝室に来てしまったから、手元にケータイがない。
まだ夢の中にいるペンギンを起こさないように、そっと体を捩って時計に目を向けると
針が指し示す現在時刻に、ふわふわしていた思考が一瞬で現実に引き戻された。
「ペンギン!起きて!!仕事!!遅刻!!ヤバい!!9時!!」
「んー……」
目覚めすっきり派ではないらしいペンギンの体を必死で揺さぶるものの、寝返りを打っただけで起きる様子がない。
まずい。
これはまずい。
恋人同士になって初日に彼氏を遅刻させるのは、流石の私でもやっちまった感が否めない。
「ペンギン!起きてってば!!ねぇちょっと!!」
「……おはよ」
おはよ、じゃねぇよ。
まだ寝ぼけているペンギンに現実を突きつけようと、時計を指差す。
視線をそっちに向けたペンギンが、ああ、と特に気にした様子もなく抱きついて来た。
「おい、いい加減目を覚ませ。現実を見ろ。遅刻だ遅刻」
「やだ。まだこうしてる」
ベッドに座り込んでいた私の体を、無理矢理腕の中に抱き締めるように寝かせようとするペンギンは
結構相当寝汚い。
睡眠への欲求が貪欲すぎる。
もうどうあっても遅刻だろう。
ここまで眠りたそうにされると、寝かせてあげたい気もしなくもない。
「ナツ、俺男で、生きてるんだよね」
「知ってるわ、んなこと」
寝ぼけてるのか訳の分からない事を口走るペンギンに、呆れた声で返事をした。
「男の朝の生理現象、知ってる?」
突如機敏に体を起こして覆い被さってくるこの男に、盛大なため息が口から漏れた。