Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
朝目が覚めると、もう時刻は10時を過ぎていて
手元にケータイがないというのは、目覚ましすらかけられないという不便さに朝から苦笑いが溢れた。
ペンギンは既に出社してしまっていたようで、リビングのテーブルには鍵と一万円札、そして
“飯代。荷物取り返せるか様子見てみるから今日も泊まってって。”
出掛けで急いでいたのか、元から字は綺麗な方じゃないのか
走り書きのように書かれたメモが置いてあった。
飯代で一万って、何を食べろと。
財布もないから、正直有難いんだけど。
冷蔵庫を開けてみると、中にはお酒とジュース、冷凍室に非常食なのか冷凍パスタがいくつか入っているだけで食材は見当たらなかった。
男の独り暮らしなんてこんなもんかと思いつつ、お礼も兼ねて夕食でも作っておこうかと思わなくもない。
ここのところ仕事やら院長やらで疲れきっていたせいか、自炊なんて全くしていなかったことに今更ながら気付く。
あんまり料理は得意じゃないけど、金なんて有り余ってるだろうペンギンにお礼を考るとすると
手間や真心以外に私が今できることが思い付かない。
幸いなことに調理器具や皿はあるみたいだ。
調味料はほぼないけど。
「買い物でも行きますか」
洗濯してないけど、外に着ていける服は昨日着ていたものしかない。
仕方ないかとそれに袖を通し、簡単に身支度を整えペンギンの家を出た。
何作ろう。
肉?
肉なのかやっぱり。
ペンギンに夜ご飯食べて来ないでねとLINEを打ちながらエントランスを抜けると、強すぎる日差しが少し眩しく感じた。
今日もペンギンの家に泊めて貰うにしても、私は今後どうしたら良いんだろう。
久しぶりに感じる仕事という切迫感のないこの心地。
気が滅入る予定はない代わりに、今後の先行きが不透明すぎて不安だ。
マンションの敷地内の整備された花壇に心が和む。
なんの草かは知らないが、雑草ではないことが確かな鮮やかなグリーンを横目で眺めながら
スーパーへと向かう足を進めた。
雲一つない真っ青な空が、とても高く感じた。