Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
ローの瞳から零れた涙は彼の顎を伝い、ナツの頬へとその雫を落とした。
その瞬間
ナツは自分の中の何かが、白く弾けたような
そんな感覚を覚えた。
そこから溢れ出てくる暖かいものは夢の欠片とこれまでの出来事を結びつけ、
まるでパズルのピースがあるべき場所へと自然に収まっていくような
そんな感覚。
「……好きだ」
ローはナツを抱きしめている手に力をこめると、静かにそう呟いた。
「お前を、ナツを、1人の女として……愛してる」
ローの言葉に、ナツは現実へと引き戻されたように驚き、目を見張った。
交わる2つの視線。
「……私もローを、……愛しています」
ナツは優しい笑みを浮かべると、彼から流れる涙をそっと拭った。
そんなナツの首筋に顔を埋めたローは、更に抱きしめる手に力を込める。
涙を拭われて、初めて自分が泣いていることに気づいたものの
なんとなく、これ以上涙を見られたくはなかった。
そんなローの頭をナツは優しく撫でる。
暫く2人の間には、静かな時間が流れていた。
「あ、そうだ」
そしてどれくらい時が経ったのだろうか、ナツがふと思い出したように声をあげた。
そっとローの手を外すと、彼女は再び崖の淵へ向かって歩いて行く。
そんな彼女を、ローは静かに見ていた。
「なんとなくここから見える景色って、フレバンスに似てるよね」
雪の積もる街並みを見て、ナツは得意気な、何かを企むような笑顔を浮かべて振り返る。
「死の外科医を改め、本当に神の手を持つ男って呼ばれるようになったんだね」
そんなナツの言葉に、ローは驚きに目を見開いていた。
ナツは口元に浮かんだ笑みを更に深め、再び彼の元へと足を進める。
「長身なのもイケメンなのも、目つきが悪いのも、相変わらず変わらないんだね。あ、変わらないのは私も同じか?」
ナツはローの前で立ち止まると、驚きで彼女をただ凝視しているその目を
しっかりと見据えていた。