Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「えーっと……、取り合えずこちらが有利かと思いますので、ここは引いて貰えませんか?」
ナツは堂々とライフルを構えているものの、内心は生まれたての小鹿レベルにガクブル状態だった。
何が悲しくて、日本最高位に君臨するマフィアのボス相手に銃を構えなくてはならない。
本当に私の人生はどうなってるんだ。
ナツは深呼吸すると、震える心と足を叱責し、ジッとドフラミンゴを見据えた。
そして互いに睨みあうこと数秒、不意にドフラミンゴが声を上げて笑いだした。
「ヴェルゴ、確かおまえの獲物はこいつだったか?」
「あぁ」
「そうか。殺すのが惜しくなったな」
ドフラミンゴはヴェルゴにローを解放するよう命じる。
ローは起き上がると、彼らに警戒しながらもナツ達の元へ向かった。
「……言いてぇことは山ほどあるが、取り合えずここを出るぞ」
3人はそれぞれ何か言いたげに互いを見ていたが、ローのその一言に同意した。
ローが撃たれたコラソンに肩を貸し立ち上がらせると、義父をこんな目に合わせた張本人を睨みつける。
「今回は逃がしてやる。その女に感謝するんだな」
ドフラミンゴはそう言うと道を開けた。
終始笑みを浮かべている彼の本心は分からない。
ローは眉間の刻まれているシワを更に深くした。
「…行くぞ」
しかしこの機会を逃せば、ここから逃げるのは困難、いや不可能だろう。
ローは舌打ちをすると、ドフラミンゴに警戒しながらもその横を通り抜けた。
ナツはロー達を先に行かせ、その後ろをついて行く。
ドフラミンゴの脇を通り過ぎた時、ふと
彼が小さく笑う声が聞こえたような気がした。