Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「悪かった。」
ナツが食事を頬張っていると、隣からそんな言葉が聞こえてきた。
「ん?気持ちはありがたいんですけど、私のせいで病院の戦力を削いでしまうのは嫌です」
「違ぇよふざけんな」
「は?」
意味が分からないと首を傾げるナツに
ローは再び眉間に深く皺を刻み彼女を睨み付け、深くため息を付いた。
「処分の件に関しては俺は悪いとは思ってねぇ。アイツらを辞めさせた所で大した影響なんてあるかよ」
「あはは。……じゃあ、何のことですか?」
「原因の方だ。気付いてやるのが遅れた。」
「そっちの方こそローは悪くないです。私のかわし方が下手でした。……でもありがとう」
ナツはそう言って笑顔を浮かべると、再び食事を再開し始める。
ローはその笑顔に目を奪われ、暫くその場で動けずにいた。
そういえば、彼女の笑顔を久しぶりに見た気がする。
そんなことを考えていると、思い浮かぶのは夢の中の彼女。
あいつもよく、笑っていた。
(…やめろ、もう過去にしがみつくなと決めたはずだ)
ローは片手で顔を覆うと、蘇った記憶を消そうとした。
よく食べるところも、好きなものも、服装が変な事も、その笑顔も、何もかもが一緒だ。
ただ彼女には、記憶がない。
「ロー?どうしたの?」
食事を終えたナツがそんなローの様子に気づき不思議そうに声をかける。
声につられるように、ローは顔をあげた。
交わる2人の視線。
見つめ合う瞳には、それぞれの思いが込められていた。
「…っ」
ローは咄嗟にナツの手を掴むと、そのまま引き寄せ口づける。
ナツは驚いて目を見開いていたが、ゆっくりとその目を閉じ、それを受け入れる。
ローは一か月振りの口づけに、気分が高揚するのを感じていた。
後頭部と腰に手を回し、彼女の口内に舌を差し入れる。
中を味わうように舐めとると、ナツがおずおずと舌を絡ませてきた。
お互いの唾液が交じり合う音が、小さく部屋に響き渡る。
「…んっ…ぁ…」
軽く吸い上げれば、ナツの口から鼻にかかったような甘い声が漏れる。
ローはそんな彼女の姿を愛おしげに、じっと見つめていた。