第5章 怪我
病院へ行くバスの中。
『酷くないといいけど…』
及「痛みもそんなに無いし軽いと思うよ」
『でも私が言わなきゃ黙ってるつもりだったでしょ』
ジト目で見ると、うっ…と言葉を詰まらせる徹。
及「でもユキちゃんだって黙ってるんだからお互い様だよね」
徹の言葉に疑問が浮かぶ。
私が黙ってる…?何を?そんなの1つしかない。
及「手首、包帯してるよね」
『…やっぱり徹にはバレてたか』
苦笑いで返す。
及「みんな気づいてるよ。…俺たちには言えない、ってこと?」
『そういう訳じゃないよ。心配かけたくなかっただけ』
本当に?とあんまり信じてない徹に素直に頷く。
『英に助けてもらって大事には至らなかったし』
及「だからいきなり国見ちゃんと仲良くなったんだ」
名前で呼んでるしさ。と言う徹に、そゆこと。と答える。
『戻ったらちゃんとみんなに話すよ』
そう言えば徹はやっと納得してくれたみたいで、病院前のバス停に到着するまで他愛のない話をして過ごした。