第5章 怪我
あの時の怪我は、たぶん誰にも気づかれてない…と思う。
はじめは気づいてない。
貴大も大丈夫。
一静も…たぶん大丈夫。
徹は…大丈夫だと思いたい。
英には口止めしたし、2週間経ったのに未だに取れない包帯に気づかれなければ大丈夫…なはず。
思ってたよりもざっくりいったらしく、傷が深かったんだよね。
でも中心以外は瘡蓋になってきてるし、たぶんあと2、3日すれば包帯も取れるはず。
あれから結局、はじめの言った通り新入部員は仮入部の半分くらいだった。
ほとんどが2軍や3軍に振り分けられた中、英と勇太郎はいきなりベンチ入りの1軍。
しかも今度の練習試合ではスタメンだ。
さすが徹とはじめの後輩だね。
…そうだ。あれから英とよく話すようになって、自然と勇太郎とも仲良くなったんだ。