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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第3章 【上杉謙信】ヘーラーの嘆き




それから、一週間程経っただろうか。
和泉様にお会いした日あたりから、たまにぐるぐると目眩がしたり。
ばくばくと動悸が収まらない時もある。


全て大した症状じゃないけれど、重なると不安になってくる――ぽろり、と謙信様に零してしまった所、祟りじゃないか、なんて珍しく狼狽えていたから、もう相談できなくて。


こっそりと佐助くんに相談して、お医者様に着いてきてもらった、今はその帰り道だった。



「千花さん、良いことを教えてあげるよ」


佐助くんは、意味ありげににやり、と笑った。
そして勿体ぶるように、いつもよりゆっくりと、まるで私に言って聞かせるように話し始める。



「史実の上の謙信様は、生涯不犯…全く、嫁を娶らなかったんだ。まして愛人なんかもいなくて、この時代には珍しく実子もいないとされている」

「戦に勝つ為の願掛けだなんて説もあるけど、実際は哀しい理由があって…本当の謙信様は寂しがり屋だって、俺達は知っている」

「だからさ、千花さんが謙信様の未来を変えたんだよ。もっと自分に自信を持って、いいんじゃないかな」



佐助くんの言葉が、今、自分を取り巻く事実が、心に刺さった棘を抜いていく。
誰かと比べたりすることは無意味で、謙信様が傍に居てくれている事実が、私の全てなのだと思えてくる。


ぼろぼろと喜びの涙を流しながら、無意識にお腹をさすっていたことに笑みを零す。
さっきはお医者様の言葉にあんなに驚いていたのに、我ながら順応が速い――


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