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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第3章 【上杉謙信】ヘーラーの嘆き




春日山城に来てから、早三月ほど経っただろうか。
謙信様と過ごす日々は、穏やかで――ここが乱世の真っ只中だと、忘れてしまいそうなほど。


あんなに嫉妬深かった謙信様も、今や停戦協定を結び味方同士となった安土の面々とは文のやり取りを許してくれて。
佐助くんに文章の添削をお願いしては、他愛のないやり取りが続いている。
その内、年明けくらいには挨拶に何処かで会うか、なんて謙信様と信長様がやり取りをしていると聞いているし、楽しみに事欠かない。


私もじっとしていては体が鈍る、と謙信様に頼み込んで、針子のお仕事を任せてもらった。
針子さん達は皆同年代で、女子会トークで毎日盛り上がっている。


たまに信玄様と幸村も会いに来てくれて、困った事は無いか、謙信に泣かされてないか、なんて世話を焼いてくれ、その度に謙信様が怒って道場に二人を連れていってしまう――しかし、あくまでも、楽しげに。



冬も深まってきたけれど、暖かい、木漏れ日の様な優しさに包まれて。
恙無く、幸せで、満ち足りた日々がこの先も続くと思っていた――






「お客様、ですか?」
「あぁ、昔の馴染みだ。千花にも、饗しを宜しく頼む」
「わかりました!昔の馴染み、かぁ…謙信様のお話、色々聞けるでしょうか?」


「…昔の俺のことなど、聞いても面白みが無いだろう。寝ても暮れても戦に明け暮れていたのだから」
「それでも、いいんです!謙信様の事、もっと知りたい…だって、好きですもん」



私の好き、の言葉に満足気な笑みを浮かべた、美しい顔がずい、と近付く。
口付けの予感に、目を閉じると、望み通りの温もりがすぐに落ちてくる。


更なる期待そのまま、謙信様の胸にすがり付いた――




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