第13章 【豊臣秀吉】一度限りの奇跡
「も…っ、申し訳ございません!
その辺りは今しがた、私が雑巾をかけておりました…!!」
怒られても無理ない、と深々頭を下げる。
恐る恐る顔を上げると、微笑む秀吉様。
三成様も、僅かに頬を染めて苦笑いを浮かべている。
「何謝ってるんだ、いつも綺麗にしてくれて有難うな!」
「これは、恥ずかしいところをお見せしました。
貴女のせいではありませんので、心配なさらないでくださいね」
「あ、あのっ…お怪我が無いなら…何よりです」
私を責めることなく、にこにこと微笑み続ける優しい二人にいたたまれなくなり。
失礼しますとご挨拶もそこそこに、逃げるように走り去る事しか出来なかった。