第8章 【明智光秀】拈華微笑
「鹿角、胡椒、芋茎、朝鮮人参…とは、な…くく」
その内容に思わず、小さく笑い声を上げると。
千花も、俺の持つ文を興味深げに覗き込んだ。
「元気になる材料、ばかりですか?」
「あぁ…元気になるだろうな、加えて――」
目の前にある千花の耳元に、口を寄せ、囁く。
えっ、と小さく声を上げ驚き…顔を赤らめ。
道理で家康の様子が変だった、と頬を膨らませた。
「…信長様ってば、もう…!」
「しかし、俺にとっては願ったり叶ったり、という所だよ…
千花」
すっかり余裕を取り戻し、笑いかけると。
そんな俺の様子に千花も一段と嬉しそうに微笑むものだから、やはりこの心持ちも彼女の手の内なのか、と…
しかし、悪くない、と。
心の中で、そう呟きながら。
久方振りのその身を、強く抱き寄せた――