第19章 喪失(謙信視点)
淡く滲み、光を帯びた姿は。
なんの予兆もなしに、呆気ないほど自然に。
「っ、謙信さ」
光の粒となり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・消えた。
「かえって、しまったのか・・・」
この けんしんを おいて、いってしまったのか。
もう。
さがしたとて。
このよの どこにも。
かの じょせいは そんざいしない、そんざいしえない。
「・・・ふふ・・・・・・ふははっ」
そう、かんがえた だけで。
「・・・はは・・・・・・・・・・・・・・・っ」
あすからの ひびが、まるで。
―――じごく だとすら おもえる。
『ゆめき』が いないだけ だというのに。
なんと なさけない。
いつから、このように よわくなって しまったのか。
「そなたは・・・ほんとうに・・・・・・ひかり・・・だったのですね・・・」
てんかとういつも、かいのとらとの しょうぶごとも、びしゃもんてんすら。
ふかい くらやみに しずんでしまい、みることも かなわない。
けれど。
それらすべてが、そなたとのおもいへ つながって いるのなら。
「わたくしは、じごくすら うけいれましょう」
―――ああ、ゆめき。
わたくしの とうとき ひかり。
わたくしの あいらしき はな。
わたくしの。
ただひとり。
あいするひとよ。
▲・▽・▲・▽・▲
薬師さんがもし突然、謙信の目の前で消えてしまったら・・・な、もしも話。
とりあえず、深く愛されている薬師さま。
普段はお互い、相手より自分の方が重い想いを抱いているとか思っていたりするかもしれません(曖昧)。