第3章 縁側と団子と幸せと(薬師視点・幸村・佐助)
「ちょっと旦那!あんた一人で何本食べてんの!?食いすぎは駄目だって言ってんでしょうが!」
「す、すまぬ……だが、このうまい団子を前にして我慢することなど、俺にはできぬ!」
「できぬ、じゃないだろ!」
「幸村さん。甘味好きなのはいいですけど、ほどほどにお願いしますね。佐助さん、お団子いくつ買ってきたんですか?」
「30本」
「この団子ならば、50は食えるぞ」
「佐助さん、今度から一度に買うお団子は10本にしてください」
「了解」
「そんなっ…!?」
がっくり肩を落として項垂れる幸村さんを見ると、少しかわいそうになりますが。
お団子50本は駄目です、薬師として許すわけにはいきません。
「まぁ、そう気を落とさずに……はい、幸村さん。はい、佐助さんも」
残ったお団子二本を、幸村さんと佐助さんにそれぞれ差し出す。
「一人でたくさん食べるより、一本ずつでもみんなで一緒に食べた方がおいしいと思いませんか?」
にっこり笑って言えば、幸村さんと佐助さんは顔を見合わせて。
ゆっくりと、差し出したお団子を受け取ってくれました。
「おいしいですねぇ…ね?幸村さん、佐助さん」
「うむ、うまい!」
「…まぁ、な」
こうやって、好きな人たちと分け合って食べるお団子は。
それはそれは美味しくて。
この場に謙信様がいれば、どれほど幸せだろうとつい、郷愁を誘われた。
「夢姫ちゃん、どうかした?」
「薬師どの?」
「ああ、いえ、すみません。ちょっと、ぼーっとしてしまって」
いけない、いけない。しばらく謙信様に会っていないせいか。
ホームシックなるものを感じてしまいました。