第1章 1
どうやら泣いてはいないようだった
「笑ったりして悪かった。奴等も心配してるからよ、教室戻ろうぜ」
『…ですか?』
「あ?」
彼女の声は小さくか細く、今にも溶けてしまいそうだった
『みんなあたしのこと怖いって思ってないですか?』
…そんなことかよ
「大丈夫だ。Z組はあんだけでお前を恐れるような柔でつまんねぇ魂(こころ)なんざ持っちゃいねぇよ」
彼女は少し考えると微笑んでみせた
『良かったぁ。すみません、先生。あたし、教室戻ります』
その顔はひどく安心した表情に加え、怯えたようにも見えた
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