第9章 9
土方side
「お前が寝てる時、寝言で"お母さん、お父さん…大丈夫だ"って言ったんだ。お袋さんのことは悪いが葉から聞いた。その時の顔がとても大丈夫だなんて顔じゃ無かったんだ。一体何がそんな顔をさせてるんだ?」
俺はこの間の出来事を包み隠さず話した
『…そっか』
その時の立石の顔には、悲しみに混ざり、安心した表情が見えた
『…大丈夫。そんな顔しないで。ちゃんと話すから』
その時の俺はどんな顔をしていたのだろうか
『あたしね、この転校って3回目なの。仕事の都合とかじゃなくて、あたしの都合』
立石は体育座りをして、身体を抱き締めるかのように話す
『元々お母さんは身体が弱くてね、医者からも安定した生活をって言われてたんだ。でもあたしはお母さんを苦しめて、お母さんの安定した生活を奪った。お母さんから命を奪った。お父さんからお母さんを奪ったんだ』
「ちょっと待て。どうしてお前がお袋さんから奪ったことになるんだ?」
『…最初にも言ったけど転校したのはあたしの都合なの。あたしのせいなの』
まただ
また立石はあの表情をする
泣きそうでもそれを噛み殺すように哀しく笑う、あの表情を
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