第29章 29
そして、気がついたら抱き締めていた
『し、んすけ?』
「…少し黙っとけ」
『…うん…』
腕のなかにすっぽりと納まる 朱音
ダセェことに心臓が柄にもなくうるせェ
『…ふふっ、晋助の心臓、死んじゃいそうだよ?』
「… 朱音を抱き締めてるからな」
すると俺の心臓とは別の心臓の音が聞こえてきた
朱音の胸の位置で
一旦 朱音を離すとそこには真っ赤な顔をしている 朱音がいた
『みみみ見んなばか!』
と叫んで再び俺の胸の中に顔を埋める 朱音
…チクショー可愛いじゃねェか
釣られて俺の顔にも熱を感じる
それから数分間、俺たちは心臓がもつ限り抱き締めあった